ソヘイル・ナセリはイラン人の両親のもとカリフォルニア州サンタモニカで生まれた。5歳からピアノを習い始め、20歳でニューヨークに移り、カール・ウルリッヒ・シュナーベルの下で研鑽を積む。シュナーベルの亡き後、ナセリはジェローム・ローウェンタールの秘蔵っ子として今日まで指導を受けている。その他特筆すべき指導者にはアンナ・ブレイカーズカイア、アン・シャイン、クフィントン・アダムス、イリーナ・エーデルマン、エヴァ・ピエルなどがいる。ナセリは、ニューヨークの最も多才なリサイタリストの一人、と称されている。

2001年の秋から、ニューヨークのカーネギーホールのワイル・リサイタルホール、アリス・タリーホール、リンカーン・センター、マーキン・コンサートホールで19回にわたって、全て異なる現代曲プログラムで、リサイタルを行っている。これらのコンサートは23の現代曲初演や、32曲あるベートーヴェンのピアノ・ソナタのうち、28曲も含まれている。ナセリはこれらのコンサートを含めて、ベートーヴェンの室内楽曲、リートを含むピアノ曲全曲をベートーヴェンの生誕250周年の2020年までに演奏すると宣言している。

ソヘイル・ナセリは2004年5月にシチリアのパレルモ・マッシモ劇場でリサイタル・デビュー。イタリア各地を始め、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカでも演奏活動をしている。ナセリはワシントンD.C.のケネディー・センターとベルリン・フィルハーモニー室内楽ホールでリサイタルを行い、2008年の3月にクイーン・エリザベス・ホール(パーセル・ルーム)でロンドンでのリサイタル・デビューを果たした。

今シーズンは、アメリカとヨーロッパでソロと室内楽コンサートをベルリンのコンツェルトハウス等で行い、ユストゥス・フランツ指揮のフィルハーモニー・デア・ナツィオーネン、ファビオ・デル・チオッポ指揮のフィレンツェ五月祭管弦楽団との協演でフィレンツェ・デビューを果たした。

2009年3月には、東京でソロ・リサイタルを開き、成功を収めた。
最近は、スラム街にある公立学校での音楽教育に力を注いでいる。2003年までにアメリカの60以上の公立学校でコンサートを行っている。

ナセリはまた、若手のクラシック作曲家の新作発表に情熱を注いでおり、リチャード・ダニエルプール、アヴネル・ドルマン、マーティン・ケネディ、ハルケル・スモール、ロン・イェディディア、サミュエル・ジーマンなど多くの作曲家が彼のために作品を提供している。

2002年にはワイル・リサイタルホールでイギリスの作曲家、カイホスルー・ソラブジのピアノ曲「ソナタNo.0」の世界初演を行った。これは、ベートーヴェンとラフマニノフのソナタと併せてセンタウアー・レコードに録音された。
ソヘイル・ナセリは現在、ニューヨークとベルリンに居を構え、活動をしている。